桜内梨子/エピソード/12話 霧の中
外觀
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| さ、食べましょう。 ここのケーキはすごく美味しいのよ。 いただきます♪ 1 | ||
| いただきます…… | ||
| 美味しい…… | ||
| もぐもぐ……美味しい……甘い…… | ||
| でしょ? この前もAqoursのみんなと食べに来たの 2 + | ||
| ほっとする味だね | ||
| もぐもぐ……ほんとだ。 なんだか、ほっとする味だね | ||
| ふふ♪ 今、あなたが食べてるケーキ、 千歌ちゃんのお気に入りなのよ。 この前Aqoursのみんなと来た時も注文してたわ 3 | ||
| 千歌ちゃんと曜ちゃんはお小遣いをもらったばかりだったの。 それでたくさん注文しようとしたら、 計画性が無い! ってダイヤさんが怒っちゃって 4 | ||
| あははっ | ||
| ……少し、落ち着いたみたいね 5 | ||
| ……うん。 ごめんね、さっきは、その……取り乱しちゃって | ||
| 気にしないで。 それより……事情を聞いてもいいかしら? 6 + | ||
| ……イベントに出る準備をしてる、っていうのは、前に話したよね | ||
| ええ。ライブをやるから、虹ヶ咲のみんなが歌う曲を 作ってるって…… ……もしかして 7 | ||
| ……曲、まだ、作れてないんだ。 梨子ちゃんと話してすっきりして、これで大丈夫だって思ったのに、 進められなくて…… | ||
| そうだったの…… 9 | ||
| 私達、まだ活動始めたばっかりだし、 たくさんの人に覚えてもらうためには、 たくさんステージ立たなきゃならなくて | ||
| そこで歌う曲は、そのままみんなのイメージになるから…… だから、絶対、みんなが最高にキラキラ輝ける曲じゃなきゃ ならないんだ…… | ||
| とても真剣に考えているのね、虹ヶ咲のみんなのことを 10 | ||
| 当たり前だよ! 一緒に頑張る仲間だもん。 みんなのためにできることならなんだってやりたい。 一緒にどこまでも走っていきたいから | ||
| だから、曲作りにも全力で取り組まなきゃって思った。 聴く人全員が、虹ヶ咲のスクールアイドルを覚えてくれるように。 好きになってくれるように | ||
| でも…… そうやって考えるほど、どんな曲を作っても気に入らなくて、 どんな曲にすればいいのかも分かんなくなって、それで…… | ||
| 逃げて……きちゃったんだ…… | ||
| 逃げて…… 11 | ||
| 曲もイベントも全部忘れて、 何も無いところに行ってしまいたかった。 練習を頑張るみんなを放り出して、自分だけ…… | ||
| 今はもう、どうやってみんなの曲を作ってたのかも 分かんなくなっちゃった。 そのくせ、頭の片隅ではずっと曲のことが気になってて | ||
| もう、自分が情けなくてたまらない。 どんな顔でみんなのところに帰ればいいのか分かんない + | ||
| あの日の電話は、あなたのSOSだったのね。 ごめんなさい、もっとちゃんとあなたの話を 聞くべきだったのに…… 12 | ||
| 梨子ちゃんは悪くないよ! あの時は、私だってまだ こんなに悩むなんて思ってなかったんだから。 | ||
| 自力で解決できなかった私の責任だよ…… | ||
| あなたの気持ちはよく分かる…… なんて言ったら、おこがましいかもしれないけど 13 | ||
| 相手のことを考えるほど、 どうすればいいのか分からなくなってしまうこと、 私にも経験があるわ。ついこの前も、ね 14 | ||
| この前……? | ||
| ええ。私達、本当に似た者同士なのかもしれないわね。 立場だけじゃなくて、心の在り方も 15 | ||
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