桜内梨子/エピソード/1話 コンサートホールにて
外觀
| 角色 | 文字 |
|---|---|
| 今日はどの辺りを歩こうかな…… | |
| (ん? 何だろう、この大きな建物。コンサートホール……?) | |
| (へぇ~、今日、ピアノのコンサートがあるんだ。 どんな人が出るんだろう? ちょっと興味あるなぁ……。 今からでも、チケット買えるかな……?) | |
| (うわわ、開場時間になったから来たけど、 人がいっぱいだ……えっと、私の席は……) | |
| すみません、前通らせてもらってもいいですか? | |
| あ、はい。どうぞ | |
| ありがとうござ……あれ? | |
| え? あっ、え!? | |
| 梨子ちゃん? な、何でいるの? | |
| あなたこそ、どうして…… こういうコンサートとか、興味あるの? | |
| うん。ホールの前を通り過ぎようとした時、 ポスターを見かけて…… | |
| そうなんだ。席、私の隣だね。 すごい偶然…… | |
| 梨子ちゃんは、こういうコンサートにはよく来るの? | |
| 東京にいた頃は時々観に来たわ | |
| ああ、そっか。梨子ちゃんもピアノを習ってたんだもんね。 じゃあ、発表会とかで自分が舞台に立つこともあったんだ | |
| ええ。習っていた先生に勧められて何度か出たことがあるわ。 緊張したな~、あの頃は | |
| やっぱりするんだ、緊張 | |
| そりゃあ、するよ。他の子の演奏はすごく上手く聴こえるし、 控室で順番を待ってる時なんて、心臓が破裂しそうだったもの | |
| もし間違えてしまったら、拍手がもらえなかったらって、 悪い想像ばかりしちゃって | |
| 初めての発表会の時なんて、手も足も震えて大変だったわ | |
| う、うわぁ……。でも、その気持ち分かるかも。 順番待ちなんて想像するだけでお腹の辺りが ぞわぞわしてくるよ…… | |
| けど、不思議なのよね。 一旦舞台に上がってスポットライトを浴びると、 緊張が突き抜けちゃうのか……逆に落ち着いてきて | |
| ここまで来たらやり切るしかない! っていう気持ちになるの | |
| 吹っ切れるというか……覚悟が決まる、みたいな? | |
| そんな感じかな。 それに、弾いている内に、音楽を奏でる楽しさが 緊張をどこかに追い払ってくれるから | |
| そっか……梨子ちゃんがステージで堂々としてる理由が 分かった気がする | |
| え、どういうこと? ステージってAqoursのステージ? 堂々となんてできてないよ~! | |
| そうかなぁ……ダンスも表情もキレキレな感じがするけど…… | |
| 普段大人しそうなのに意外だなぁって思ってたけど、 ピアノ時代に度胸が鍛えられてたんだね | |
| キレキレって…… な、何か変なイメージ持たれてない!? 私……! |