桜内梨子/静かな情熱
外觀
< 桜内梨子
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| (そろそろAqoursのみんながライブの打ち合わせを 始めるって言ってたけど……梨子ちゃん、どこにいるんだろう) | ||
| (……ん? この音は、ピアノ? もしかして……) | ||
| (やっぱり! 梨子ちゃんが弾いてたんだ) | ||
| (迷いの無い澄んだ旋律、柔らかい日の光、 遠くで聞こえる風の音、演奏に合わせてかすかに揺れる髪……) | ||
| きれい…… | ||
| ほんとだね~ 4 | ||
| ひいっ!! | ||
| きゃっ! 5 | ||
| 千歌ちゃん! | ||
| あ~、ご、ごめんね! びっくりさせちゃって…… 6 + | ||
| ふ、2人ともいつからそこにいたの? 声を掛けてくれればよかったのに 7 | ||
| ついさっき……覗くつもりはなかったんだけど…… | ||
| 梨子ちゃんのピアノの演奏、すっごく綺麗だから 聴き入っちゃうんだよね~ 8 | ||
| おだてたって何も出ないわよ 9 | ||
| おだててないよ~。ほんとにすごいなって思ってるもん 10 | ||
| 私も、すごく素敵な演奏だと思ったよ。 それに、演奏してる梨子ちゃんの姿が本当に綺麗で、 みとれちゃった | ||
| き、綺麗って……そんなことないよ。 さっきも、あんまり納得いく演奏が出来なかったから、 ちょっとしかめっ面になってたと思うし…… 11 | ||
| 全然しかめっ面なんかじゃなかったよ | ||
| 全然しかめっ面なんかじゃなかったよ。 というか、納得いかないって……今のが? | ||
| うん。曲のイメージをつかみきれてないっていうか、 この曲に相応しい表現はこうじゃない気がするなって。 手首の運びもまだちょっと硬いし 12 + | ||
| 充分弾けてたけど、未完成なの? | ||
| 充分弾けてたと思ったけど、未完成なの? | ||
| ええ。未完成というか、未完成であることに 気付いた、って感じかしら。繰り返し弾くうちに、 曲にもっと相応しい弾き方を探すようになったの 13 | ||
| そうなんだ…… 弾く本人にしか分からないことっていうのも、確かにあるよね | ||
| 梨子ちゃんはいつもそうなんだよ。Aqoursの曲を作る時も、 納得出来るまで何度も弾いて、直して、最高の形にしてくれるんだ 14 | ||
| 放課後、下校時間ギリギリになるまで。 家でも夜遅くまでピアノの前で頑張ってくれてるよね 15 | ||
| 見てたの? 16 | ||
| そりゃあ、お隣さんだし~ 17 | ||
| 私はピアノ弾けないし、作曲のやり方もよく分からないから、 梨子ちゃんが曲作りで大変な時も、 応援するしか出来ないんだけど…… 18 | ||
| いいのよ。試行錯誤は何かを作る上で不可欠な工程だもの。 それはAqoursのためでもあるけど、何より私のためでもあるの 19 | ||
| 最高の曲をみんなで歌いたい…… 私のその願いを叶えるためにね 20 | ||
| 自分のため、か……。 確かに、自分が心からやりたいと思うからこそ、 そこに情熱をかけることも出来るんだよね | ||
| 梨子ちゃんの情熱が込められているからこそ、 私達も歌い甲斐があるんだよっ! 今度のライブだって――――あっ 21 | ||
| あ、そうだ。もうすぐライブの打ち合わせをするから、 梨子ちゃんを呼びに来たんだった | ||
| え!? ちょっ、ちょっと、お願いだから そういうことは早く言ってよ~っ! 22 + | ||