優木せつ菜/故事/10話 本心に触れる夜
外觀
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| お邪魔します 1 | ||
| 狭いけど、好きに使ってね | ||
| ありがとうございます。このご恩は一生忘れません 2 | ||
| あはは、大げさだよ。せつ菜ちゃんが私の部屋にいるのって なんだか不思議な感じがするけど楽しいし…… あ、家出を楽しいって言っちゃまずいかな? | ||
| いいえ、実は私も、今の状況を ちょっと楽しいって思ってしまっていまして…… 3 + | ||
| ちょっとだけ合宿みたいな感じがするもんね | ||
| はい。だからあなたも楽しいって思ってくれていて嬉しいです 4 | ||
| だってたくさん話せるから | ||
| だって、スクールアイドルのことたくさん話せるから | ||
| はい! 私もゆっくり話ができて嬉しいです。 あなたと話をすると、落ち着くので…… 5 + | ||
| はしゃぎすぎたかな? | ||
| こんな状況なのにちょっとはしゃぎすぎちゃったかな? | ||
| そんな! 私のほうこそ、 こんなときに不謹慎だったかもしれません 6 | ||
| ねえ、せつ菜ちゃん。 今回のこと詳しく聞かせてもらってもいいかな? ご両親との話し合いのこと…… | ||
| そうですね……。 あなたには、やはりちゃんと説明をしなくてはいけませんよね…… 8 | ||
| 選挙の後、ご両親と話し合うって言ってたよね? それ、ずっと平行線のままだったの? この間のソロイベントのとき遅刻したのも…… | ||
| はい、あなたの思っている通りです。 両親との話し合いはずっとうまくいっていませんでした。 それで、あの日の朝も言い合いになってしまいまして…… 9 | ||
| そうだったんだね | ||
| 両親は、生徒会長を降ろされたのは スクールアイドルをやっていたことが原因だと思っているんです 10 | ||
| 本当はそうじゃなくて、私の力が足りなかった…… 三船さんのやり方が支持されただけなのに…… 11 | ||
| そのことを何度も説明したんですが、わかって もらえませんでした。スクールアイドルなんかくだらない、 はやく辞めて塾に通え、習い事をしろってそればかりなんです 12 | ||
| 私が本当の私でいられるのは スクールアイドルをしているときだけなのに…… 13 | ||
| 何度話し合いをしたらいいんでしょうか? もう疲れちゃいました…… 14 | ||
| でも、私はスクールアイドルを諦めたくありません。 どうにかして、両親を説得しなくては 15 | ||
| だから、どう話したら論理的な説明ができるか、 一緒に考えてもらえませんか? 16 | ||
| ねぇ、せつ菜ちゃんは "スクールアイドルが好き"って気持ちはぶつけたことはある? | ||
| え? 17 | ||
| 論理的な説明でご両親を説得しようって思ってる? | ||
| ええ…… 18 | ||
| それじゃあ、せつ菜ちゃんの気持ちはわかってもらえないよ。 あのね、私が思うせつ菜ちゃんのすごいところっていうのは、 自分の気持ちを相手に伝える力があるところだよ | ||
| 大好きなことを、まっすぐに大好きって言って、それが心からの 言葉なんだってわかるくらいの愛情とか情熱とかいろんな感情を、 まっすぐ私たちに向けてくれるのって本当にすごいと思う | ||
| 私はそんなせつ菜ちゃんの力に圧倒されているよ。 そういうことをご両親にも伝えてみようよ。 それでせつ菜ちゃんの大好きって気持ちをわかってもらおう | ||
| そんなふうに考えたこと……ありませんでした。そもそも、 大好きなものの話とか、あんまりしたことがありません…… アニメや小説や漫画のことだって秘密ですし…… 20 | ||
| どうして? | ||
| お話しした通り、厳しい両親ですし…… だから私も論理的に説得しなくてはとしか思っていなくて…… 21 | ||
| でも、そのやり方で説得できないのなら、別の方法で ぶつかっていくということが必要なのかもしれませんね 22 | ||
| そうだよ、いつだって前向きでどんなことにも 立ち向かっていくのが、私の知ってるせつ菜ちゃんだよ | ||
| ありがとうございます。あなたと話してハッとしました。 私は、両親に自分の気持ちをなにひとつ伝えていなかったんだって 23 | ||
| せつ菜ちゃん、ご両親にも大好きを届けようよ | ||
| はい! やってみます! 24 | ||