国木田花丸/紙越しの縁 se
外觀
< 国木田花丸
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| ありがとうございます、助かりました。 いえ、もう大丈夫です | ||
| (結局見つけられなくて、店員さんに探してもらっちゃった。 本って、棚に入ってたりすると案外見つけづらいよね……) | ||
| えーっと……メモに書いてあるのはこの本で最後かな。 それにしても、想像してたより大きいな、この本…… | ||
| あ、いた! お~い! 1 | ||
| 花丸ちゃん。はい、メモに書いてあった本、これで全部。 合ってる……よね? | ||
| うん。……うん! 大丈夫ずら、これで合ってるずら! 2 + | ||
| わああ、全部抱えててくれたんだね……! 待ってて、今台車持って来るから……! 3 | ||
| あ、ありがとう……実は、だいぶ前から腕の感覚が無くて、 いつ腕の中の本をばら撒いちゃうかヒヤヒヤしてたんだ…… | ||
| よいしょお……お待たせずら! ここに乗せて~っ 4 | ||
| その台車に乗せるの!? | ||
| うわあ、台車にも既に本の山が! これ、このまま乗せちゃっていいの!? | ||
| あ、じゃあ待って、マルが受け取って乗せるから…… 5 | ||
| わかったよ! | ||
| はーい、じゃあ乗せるね、よ、っと! | ||
| ありが、わ~っ、た、倒れる! 積み過ぎて倒れちゃうずら~っ! 6 + | ||
| はぁ、腕が軽~い…… | ||
| ありがとう。 今日の買い物、1人だとちょっと大変かなって思ってたから…… 7 | ||
| あなたが一緒に来てくれて本当に助かったずら 8 | ||
| どういたしまして | ||
| (1人だったらどうしてたのかちょっと気になるけど。 担いで持って帰ったのかな……) | ||
| それにしても、すごい量の本だね。 いつもこんなに買っていくの? | ||
| いつもじゃないよ~。 調べたいことがあったり、好きな作家さんが新刊出したり、 店内を歩く中で気になる本を見つけた時くらいずら 9 | ||
| それって、大抵の人が本屋に行く時に持ってる理由だよね…… | ||
| 次に来た時にはもう無いかもしれない…… 在庫が無ければ再入荷まで時間がかかる…… 10 | ||
| そう思うと、買わずにはいられないずら 11 | ||
| 確かにその気持ちは分かるなぁ。迷った末に買わなかったものや、 そのまま手に入らなくなっちゃったものって、すごく気になるよね | ||
| そう! 本との出会いはエンずら! 12 | ||
| えん? ご縁がありますように、の『縁』? | ||
| そう。本は作者そのものずら。小説でも評論でもエッセイでも、 作者が何を思い何を伝えたいのか、その心を込めたもの 13 | ||
| それはもはや人と同じ! 出会うことで新たな世界を開ける可能性があるなら、 逃してはならないずら……! 14 | ||
| へえ……そんなふうに本のことを考えたことは無かったなぁ | ||
| 人と人が出会うのは縁で引かれ合うから…… なんて聞いたことがあるし、 本との出会いが人との出会いでもあるなら、大事にしたいね | ||
| うん♪ 15 | ||
| ……花丸ちゃん、もう少し、店内見て回ってもいいかな | ||
| 私も、ここのどこかに隠れている誰かとの縁を、 探してみたくなったの | ||
| うふふ。もちろんずら。 マルも一緒に行っていい? 16 | ||
| うん。一緒に行こう♪ | ||