月のウサギと女神様/第3話
外觀
| 角色 | 文字 |
|---|---|
| はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…… 0 | |
| はぁ……はぁ…… あれ、ここ、どこだろう……? 3 + | |
| ウサギを探していたらいつの間にか、みんなと はぐれちゃったみたい。それにしても、すすきがいっぱい…… 近くにこんな場所、あったかなぁ? 4 | |
| 梨子さん 5 | |
| あっ、しずくちゃん! よかったぁ。私、迷子になっちゃったかと思って…… 6 + | |
| ……って、あの、しずくちゃん? どうしたの、それ? うさ耳? 8 | |
| 梨子さん、私はしずくではありません 9 | |
| え……? 10 | |
| 私は先ほどのぴょんきちです 11 | |
| ぴょ、ぴょんきち……? 12 | |
| はい。実は困っていることがありまして。 是非お力をお借りしたく、 あなたをこの「月の世界」へとご案内したのです 13 | |
| 「月の世界」……? 14 | |
| 突然こんなことを言われても、 にわかには信じられないことと思います 15 | |
| ウサギだった私が、しずくさんの姿をしているのも、 おかしなことに思えるでしょう 16 | |
| 実は私は「月の世界」の精霊。精霊はかたちを持たぬ存在。 野を吹く風のように、人の目に映ることはないのです…… 17 | |
| だから私は、あなたのお友達の姿を借りることにしました。 ゆえに私はしずくさんのように見えて、しずくさんにあらず 18 | |
| しずくさんの姿をした「月の世界」の精霊なのです! 19 | |
| そ、そうなんだ…… 20 | |
| 梨子さん、私たちは今、大変な問題を抱えているんです。 それを解決できるのはあなただけ! どうか私たちにその力をお貸しください! 21 | |
| ……………… 22 | |
| どうかお願いします! あなただけが頼りなんです! 23 | |
| ……さすがね 24 | |
| ……? 25 | |
| さすが女優を目指しているだけあるわ。 つい見入っちゃった 27 | |
| お客さんも一緒に参加する舞台ってあるわよね。 イマーシブシアターだっけ。 これも、そういうお芝居なのかな? 28 | |
| ……………… 29 | |
| ……ご理解いただけていないようですね 30 | |
| 違うの? じゃあ、どういうお芝居? 31 | |
| お芝居ではありません! すべて現実です! 32 | |
| 梨子さん、あなたに会わせたい人がいます。 その方たちに会えば、私の言っていることがすべて本当だと、 信じていただけるはずです! 33 | |
| どうぞこちらへ! 34 | |
| わわわ……なに、なに、しずくちゃん、 ひっぱらないでぇぇぇ! 36 |