朝香果林/故事/17話 苦い思い出
外觀
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| 読者モデルになりたてのころ、嬉しくてね、 すごくやる気に満ちていたの…… 1 | ||
| でも、「読者モデルなんて、少し目立つ子がカメラの前で 笑っているだけ」って言われたりして…… 2 | ||
| 見返してやろう、ってずいぶん努力したものだわ 3 | ||
| おかげで現場でも評価してもらえるようになって、 雑誌に掲載してもらえる機会も増えていったから、 結果オーライなんだけどね 4 | ||
| 昔から頑張り屋だったんだね | ||
| 果林さんは、昔から頑張り屋だったんだね | ||
| 負けず嫌いって言う方が正しいかもね 5 | ||
| 当時の光景が目に浮かぶよ | ||
| 当時の光景が目に浮かぶよ | ||
| 多分、そう外れてないと思うわよ 6 | ||
| 評価が上がれば、当然誌面での扱いも大きくなるでしょ? そうなると人気も上がって、注目株のひとりと言われるように なったの 7 | ||
| 努力が報われたんだよ。 そこまで行くのに、きっともの凄い苦労があったんじゃない? | ||
| ふふっ、想像に任せるわ 8 | ||
| そんなとき、ある企画が立ち上がったの 9 | ||
| 他の人気読者モデルとユニットを組んで、 ファンクラブを作ろうっていう誌面企画よ 10 | ||
| へえ、ファッション誌ってそんなこともするんだね? | ||
| ええ、誰かと組んでなにかをするのって初めてだったから、 ますます張り切っちゃってね…… 11 + | ||
| やるからには、本気で上を目指そう、って心に誓ったのを 今でもよく覚えてる 12 | ||
| 応援してくれる人のためにも、海外のファッションウィークで ランウェイを歩けるようなプロのモデルになりたいって思ってたわ 13 | ||
| 高い目標があれば頑張れるもんね。 果林さんならなおさらでしょ? | ||
| ……自分で言うのもあれだけど、 目標があったし、妥協はしてなかったと思うの 14 | ||
| 他の子たちも私と同じだと思ってた。 トッププロとまではいかなくても、上を目指して 人の何倍も努力してるに違いない、ってね 15 | ||
| ……でも、そうじゃなかった? | ||
| 私が、熱くなりすぎていたのよ…… 16 | ||
| でも、みんな仕事はそつなくこなしていたわ。 だから表面上はなんの問題もなかったの 17 | ||
| ただ、考え方が私と違っただけ。 今にして思えば、私が空回りしてただけかもしれないわね 18 | ||
| 果林さん…… | ||
| もちろん向上心のある子もいたわよ。でも、大多数は違ったわね 19 | ||
| だから、空気がおかしくなっちゃったの 20 | ||
| 当時はそんなの変だ、って思ったし、許せなくてね。 何度もぶつかって、結果、私だけが外されたのよ 21 + | ||
| あーあ、無駄なことしちゃったな、って思った…… 22 | ||
| 私はあの時「ほどほど」を学んだわ。 たぶんそれが一番ちょうどいいの。私は、ほどほどでいたいのよ 23 + | ||
| 果林さん、そんなことがあったんだ…… | ||