桜内梨子/エピソード/6話 踏み出した一歩
外觀
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| ――――はい、おしまい | ||
| ~~~~っ! もう1曲! もう1曲だけ弾いて~っ! | ||
| だーめ。もうすぐ下校時刻よ。 音楽室の鍵、返しに行かなくちゃ | ||
| あーあ、梨子ちゃんのピアノ、ほんとに綺麗なんだもん……。 やっぱり録音したい…… | ||
| 恥ずかしいからやめて! | ||
| けち~ | ||
| ……でも、梨子ちゃん、すっかり調子が戻ったみたいだね。 楽しさや嬉しさが音から伝わってくるよ | ||
| そうかしら? そう言ってもらえると嬉しいわ | ||
| Aqoursの作曲のほうも順調なんでしょ? | ||
| 別に順調ってわけじゃないわよ? 今でもどうすればいいか悩んで、手が止まる時はあるわ。けど…… | ||
| けど? | ||
| 前みたいに、曲を作ることに対して 重苦しく考えることは無くなったわ | ||
| もちろん、任されていることへの責任は変わらず感じているけど、 前よりも、自然にAqoursのことを考えられるように なったというか…… | ||
| みんなも私も、笑顔で歌えるような曲を作りたい。 そのために頑張りたい。そう思えるようになったの | ||
| そっか……よかった。これからの出来るAqoursの曲は、 きっと今までよりもっとずっと素敵な曲だね! 今から聴くのが楽しみだな♪ | ||
| ええ、楽しみにしていて♪ 曲が出来たら、あなたにも必ず知らせるわ。 こうして曲作りに前向きになれたのも、あなたのおかげだから | ||
| そんな、私は何もしてないよ | ||
| そんなことないわ。 ずっと、心のどこかでみんなと自分を分けていた…… 勝手に違うと思い込んでいた私の目を覚まさせてくれた | ||
| たとえ違う歴史を持っていても、 想いの強さは変わらないんだって気付かされたの | ||
| だから、今こうして弾くことを純粋に楽しめているのは、 あなたと……それから、あの時弾いた曲のおかげよ | ||
| 梨子ちゃん……そこまで思ってくれてるなんて嬉しいけど、 なんか恥ずかしいな……。こんなことなら もっとかっこいいセリフ言うんだった | ||
| ふふっ。心配しなくても充分かっこよかったわよ? これ以上無いくらい胸に響いたもの♪ | ||
| 面白がってる? | ||
| 梨子ちゃん……面白がってるでしょ? | ||
| あはは、ばれた? あなたが恥ずかしがってる姿が新鮮だったから、つい。ごめんね | ||
| からかわれてる気がする | ||
| なんか、からかわれてる気がするんだけど…… | ||
| 気のせいよ。まぁ、恥ずかしがってるあなたに ちょっといたずら心をくすぐられたのは、確かかな? | ||
| ひどいよ、梨子ちゃ~ん! 傷ついた~っ! | ||
| だからごめんってば | ||
| いいよ、この傷ついた心は梨子ちゃんの曲で癒すから | ||
| 曲? だから、もう帰らなきゃならないから弾かないって | ||
| この前弾いてくれた即興曲、録音してあるからそれを聴く | ||
| この前? ま、まさかあの時の曲!? 録ってたの~!? | ||