桜坂しずく/故事/2話 空想炸裂
外觀
| 角色 | 文字 | |
|---|---|---|
| しずくちゃんは演劇の話になると、 本当に生き生きした感じになるね | ||
| はい! でも、そのせいか、 つい周りを気にせずしゃべり倒してしまうみたいで…… 自重しなければと思ってはいるのですが…… 1 | ||
| しずくちゃんって、何がきっかけで演劇が好きになったの? 何か面白い作品を観たことがあるとか? | ||
| いえ、既存の作品がきっかけというわけではなくて…… もともと、物語の世界、空想の世界というものに 惹かれやすいたちだったんだと思います 2 | ||
| 自分の頭の中でお話……というほどではないですが、 設定を色々考えて遊ぶことが多くて 3 | ||
| 設定? | ||
| はい。 例えば、ぬいぐるみに名前をつけて、 お友達に見立てて一緒に遊ぶとか 4 | ||
| ああ~、なるほどね。それなら私もやったことあるよ。 ぬいぐるみの星からやって来た、とか設定付けててさ。 しずくちゃんもそんな感じ? | ||
| はい。まさにそうです。 自分も含めて、色んなものに 色んな設定を付け加えて遊んでいました 5 | ||
| へ~。それじゃ、おままごととか、 結構詳しく考えたりしたんじゃない? | ||
| ええ。おままごとは毎回張り切って設定を考えたものです 6 | ||
| 実際に採用したことのある設定は、 お父さんが外交官、お母さんは専業主婦、子供は2人、 お手伝いさんが3人、運転手1人、庭師1人 7 | ||
| お父さんは仕事でよく海外を飛び回っており、たまに帰国しても ほとんど職場で仕事をこなし家には帰ってきません 8 | ||
| お母さんはお父さんに会えないことに 寂しさを感じていますが、2人の子供がいてくれるので 頑張って毎日を過ごしています 9 | ||
| 2人の子供は上が小学1年生、下が幼稚園の年中組。 どちらも私立に通っており、 学校と幼稚園には運転手が送ってゆきます 10 | ||
| お父さんが帰宅した日は盛大なパーティが開かれ、 普段会えない時間を取り戻すように、家族仲睦まじく過ごします 11 | ||
| ……庭師は? | ||
| 庭師はずっとお庭のお手入れですね。 ちなみに庭師と運転手は住み込みで、 代々その家に仕える一族が務めるという設定です 12 | ||
| 庭師役と運転手役の子、絶対暇だよね。 背負ってる設定は重要っぽいのに | ||
| 他にも海外を舞台にした設定とか、 魔法の力に目覚めた子供がそれをひた隠しにしながら 日々を過ごすファンタジックな設定とかも考えて 13 | ||
| 最初は他の子も面白がってくれたんですが、 だんだん、覚えることが多くて難しいと言われるようになって…… 14 | ||
| その内、誰も遊んでくれなくなっちゃいました 15 | ||
| そうだったんだ……。 でも、しずくちゃん、すごいよ。 そんなに小さい頃から『演じる』ことにこだわりを持ってたんだね | ||
| そ、そうでしょうか 16 | ||
| うん。そう思うよ。 私も小さい頃にしずくちゃんと遊んでみたかったな。 外交官一家のおままごと、面白そうだもん | ||
| 先輩……! でしたら、今からでもやってみませんか!? 18 | ||
| えっ、今から!? | ||
| えっ、今から!? | ||
| はい! 先輩ならきっと見事に演じてくださると思います。 希望の役はありますか? 父親? 母親? 19 | ||
| ええ!? | ||
| ええ!? いや、しずくちゃんの世界観を 表現しきれるかどうか不安だしな~…… | ||
| そんなことはありません! 先輩は素晴らしい感性をお持ちです、心配要りません。 そうですね、例えば主人公を導く魔法使いなんてどうでしょう? 20 | ||
| え、えーと……ちょっと考えさせて | ||
| おーい、そろそろ練習再開しよーよ~ 21 | ||