桜坂しずく/故事/25話 私で、いいの?
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急にこんなところに呼び出してしまって、すみません…… 1 + |
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気にしないで。 今日はお天気もいいしね |
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あの……私…… 2 |
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うん? |
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私、わからなくなってしまって…… 3 + |
役づくりのこと? | |
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役づくり、まだ固まらない? |
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あ、いえ、そのことじゃないです。 いえ、役のことではあるのですが、それ以前というか…… 4 + |
他の生徒会長も見てみる? | |
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うーん…… ダイヤさんや絵里さんの普段の様子を 見せてもらえるよう、お願いしようか? |
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ええ!? さ、さすがにそこまでは…… 5 |
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って、その話ではないんです 6 |
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うまく言えないんですが…… 7 |
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私のいただいた役は、物語の中心人物のひとりである、 大切な役です。この役の出来ひとつで、 作品の評価が左右されるほどだと思います 9 + |
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演劇部の部長から、この役を任せたいと言ってもらったときは、 素直に嬉しかったんです 10 |
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でも、役のことを考えれば考えるほど、 自分でいいのかな、って…… 11 |
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この役は、部長や副部長、演劇部のエースの子、 そんな子たちが演じるべきなんじゃないかな、って…… 12 |
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演劇一本に絞っている子と同じくらいの練習時間が取れない私が、 こんな重要な役を演じていいのでしょうか……? 13 |
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しずくちゃん…… |
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この役は、台本を読めば読むほど魅力的な子なんです。 この子と向き合うことができるのかな…… 私でいいのかな…… 14 + |
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しずくちゃんは、最初から誠実に向き合えてると思うよ。 難しい役をもらえて、新しい挑戦になるって言ってたじゃない |
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ありがとうございます。でも…… そもそも、自分の「挑戦」だなんて言い方も おこがましくはないですか? 私、私…… 15 + |
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あっ! もしかして…… 16 + |
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校内フィルムフェスティバルは、 文化部の部活動紹介的な側面もあるので、 できるだけ人をよびたいイベントです 17 |
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だから私が選ばれたのでしょうか…… スクールアイドルが主演となれば 少しは話題になりますし…… 18 + |
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ううん、しずくちゃんが選ばれたのは、 そんな理由じゃないと思う + |
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でも…… 19 + |
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演劇部にとって、校内フィルムフェスティバルは すごく大切なイベントだよね? |
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ええ。毎年、映画研究部やアニメーション研究部と 金賞を競い合っていて、お芝居をやっている私たちが 負けるわけにはいかないんです 21 + |
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代々その想いを受け継いで、本気で取り組んでます 22 + |
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だったら、そんな大切な役を話題性とかでは選ばないと思うな。 しずくちゃんだからこそ、任せてくれたんだと思うよ |
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私だから……。 でも、どうしてなんでしょう…… 23 + |
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