東條希/希先生
< 東條希
角色 | 文字 |
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エマ | うーん…… 1 + |
希 | エマちゃん、何やってるの? 2 |
エマ | 宿題だよ。 俳句を作って提出する課題なんだけど…… 3 |
エマ | この「や」とか「けり」が難しくて。 使い方がよく分からないんだ 4 |
希 | たしかに日常的には使わない言葉かもね 5 |
エマ | これ、どんな風に使うの? 6 |
希 | そうやねえ。例えば、 「古池や 蛙(かわず)飛び込む 水の音」 7 |
エマ | フルイケヤ? 8 |
希 | うん。 有名な句なんだ 9 + |
希 | 「古池や」は、 物音ひとつない閑散とした池を想像させる 11 |
希 | そこに一匹の蛙が飛び込む。 その水音だけが響いて、あたりはまた静まり返る 12 |
希 | 静かな空間や、その余韻を、 ウチらに想像させてくれる句なんだ 13 |
エマ | 空間や、余韻かぁ 14 |
希 | 目には見えなくても、心では感じるものがある。 「や」が効果的に使われている代表例なんだけど……、 ちょっと難しいよね 15 |
エマ | でも希ちゃんのおかげで、なんとなくイメージはできたよ。 早速一句、詠んでみる 16 |
エマ | 「ニジガクや 桜舞い散る 通学路」 ……なんて、どうかな 17 |
希 | わ、素敵 18 |
エマ | えへへ。「ニジガクや」で、 みんながワイワイ登校する空間を表現してみたんだ 19 + |
希 | バッチリ。目に浮かぶみたいだった。 さすがエマちゃん、飲み込みが早いね 20 |
エマ | ううん。希ちゃんの教え方が上手だったから。 希ちゃんが先生になってくれたおかげだよ 21 + |
希 | うふふ。 そう言われると、なんだか照れるやん 22 + |